僕のラーメン屋物語7


前回、両親の時代から通っていただいていた常連のお客様から 『 ちょっと味が変わったよね 』 と言われて、僕は、お客様が 『 味が落ちたよね、親父の時は旨かったけど… 』 と言っているように聞こえたというお話をしました。 

そして、僕がとった決断とは何かを今日は書きたいと思います。

味は変えていないのに、変わったと思われてしまうことに対して、しばらく、どう対処しようかと頭を巡らせて考え続けました。

その結果、僕は、一つの決断をしました。

どうせ変わったと言われるなら、お店のメニューラインナップを思いっきり、僕色に変えて 二代目 「 中華そば 白壁あおい 」にしてしまおうと考えたのです。

かっこよく言ったらラーメンイノベーションです(笑)が、お店にとっては大胆な変革ですし、リスキーです。 

お客様に怒られはしないか、二度と来ていただけなくなるのではないか。

頭をよぎりました。

でも、これしかないと決意し、断行しました。

両親がやっていた当時の「中華そば 白壁あおい」は、中華そば一品 のみで営業するスタイルでした。

僕はメニューが一品しかないので、その一品の味にお客様は集中してしまうのではないかと考えました。

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※両親の時代の 中華そば。この中華そば一本で勝負をしていました。

だから、ニ代目の僕は、まだ、若い僕らしいラーメンも加えてみようと考えました。

ようするに、一品勝負をやめたのです。

まず手始めに、ダシを中華そばより濃厚にし、そこに麦味噌、麹味噌、白味噌を合わせた濃厚味噌そばという旨みがわかりやすく万人受けする、要はキャッチ―なラーメンを開発しました。

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それまでの「 中華そば 白壁あおい 」のお客様は、中華そばを好んで食べに来ていただける、比較的年齢層が高めのお客様が圧倒的に多かったです。

しかし、濃厚味噌そばを提供し始めると、徐々にではありますが、若いお客様にも来ていただけるようになりました。 

濃厚味噌そばを提供し続けるうちに、これはいけるかもしれないと感じるようになり、

この方向性でもっと若いお客様にも来ていただけるよう、ガッツリ量が多くて味も濃くて、脳にダイレクトにおいしいと響く、中毒性の高いメニューを開発しようと思いました。

そこでリリースしたのが、スープがないラーメン、まぜそばというメニューです。 

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このメニューが、かなりの反響を得ることになり、両親が営んでいたころより若いお客様が増え、結果として両親の店より幅広い年齢層のたくさんのお客様に来ていただけるお店になりました。

しかも、お店が込み合い繁盛店の雰囲気がでてきたので、両親の頃の常連さんも徐々に戻っていただけるようになりました。

ただ単純に受け入れられた気がして非常にうれしかったのを覚えています。

勇気が必要だったラーメンイノベーションではありましたが、成功したと言っていい成果をお店にもたらしました。

現在では お店の売上比率が両親から受け継いだ中華そば4、僕が商品開発した濃厚味噌そば2、まぜそば4と完全に新しい二代目の「中華そば 白壁あおい 」に生まれ変わりました。

この経験によって、僕は貴重な学びを得ました。

飲食店の味は、商品だけではないという事です。

お店の雰囲気、お店の立地、調理する人によって同じレシピでも、お客様の味の捉え方は変わります。 

人間は、視覚やそのお店の雰囲気、もっと言えば世界観 から得る情報に味覚が左右される傾向があるのです。

味だけではなく、お店の雰囲気、世界観、スタッフの振る舞い、に注意をしましょう。